先生をお迎えして Invited Lectures
Denis Le Bihan先生をお迎えして
京都府立医科大学 放射線医学教室
先端的磁気共鳴画像研究室 酒井晃二
2015年 正月末日を明日に控えた氷雨の降る午後、拡散MRI分野の太陽ともいうべきDenis Le Bihan先生をお迎えしてご講演ならびにご討論をいただきました。
Le Bihan先生は、MRIの拡散強調画像を臨床に応用した第一人者であり、その功績が認められ、2012年には本田賞を受賞されています。これまでにも、拡散MRIを軸にさまざまな手法を考案され、その業績を列挙しただけでこのページの枠を簡単に越えてしまいます。
Le Bihan先生と山田惠教授は、「ドゥニ」「キイ」(フランスなまりでケイがキイになる)と呼び合う中であり、互いに理論と実践において、拡散MRIをリードする存在と認めあう仲です。そのようなお二人の友情から得られた今回のご講演には、大々的な呼びかけをしないにもかかわらず、当科を初め、神経内科や精神科、他大学からもご参集をいただきました。Le Bihan先生の放つ光と輝きによって、地下読影室は熱気を帯び、予定時間を超過してなおご講演と討論は留まりを得ませんでした。
ご講演後には、討論の興奮をそのままに、Le Bihan先生の愛する日本酒を話のエネルギーとして、京都とフランスの比較についてや研究の裏話などを交えて、楽しい歓談の場を得ることができました。歓談が果てる頃には、Le Bihan先生の放つエネルギーによって午後の氷雨も拡散し、寒冴の空に新たな研究への意欲を掻き立てられる刺激の多い宵になりました。
“Ted” J .Dubinsky先生をお迎えして
京都府立医科大学 放射線医学教室
先端的磁気共鳴画像研究室 酒井晃二
2016年度初めの海外からのお客様として、University of Washington (UW, Seattle, USA)のTheodore J. Dubinsky教授をお迎えいたしました。Dubinsky教授は御名前から“Ted”という愛称で呼ばれており、稀にみる人当たりのよい方でもあります。Ted教授はUWのRadiologyとObstetrics & Gynecologyの教授であり、ご専門はbody imagingなどです。Ultrasound Quarterly誌のEditor in Chiefも努められており、指導的な立場にいられる方でもあります。
Ted教授の来日は、プライベートなものではありましたが、山田惠教授とともにミャンマー国への教育活動支援を共にした仲であることなどの繋がりから、今回お越しいただくことが可能になりました。Ted教授には3日間連続でモーニングレクチャをご担当いただくことができました。ご専門である心エコーとその解剖、MRI、CTの心臓血管への利用の考え方、血流動態解析の利用、小児の心疾患と術法、肝臓のelastographyなど様々な内容を予定の時間を越えて熱烈にご指導いただきました。30分を越える英語のマシンガントークに3日間連続で晒される体験は、若い先生方の大いなる刺激なったものと信じます。 。
Ted教授は、柔道の選手でもあったことなどから日本にもご造詣が深いですが、今回が初来日ということもあり、日本の様々な文化に浸されることを特に楽しまれていた様子でした。ご一緒に来日されたご子息とともに訪れたラーメン屋の仕事に“well prepared”という評価をし、自国で食べることのできるラーメンのそれとは“different dimension”であると満足されたご様子でした。 Ted教授の所属するUWは、広く世界から研修生等を受入れられており、アジア、アフリカを中心に多くの短期滞在の訪問医師も受け入れているとのことです。心臓とUWという恵まれた環境に興味をお持ちの方は是非コンタクトをお取りになることをお薦めいたします。Ted教授がその稀に見る人当たりの良さでお迎えしてくれることは“no question”であります。
Rajan Jain先生をお迎えして
京都府立医科大学 放射線医学教室
先端的磁気共鳴画像研究室 酒井晃二
9月の下旬といえど、まだまだ夏の湿気が残る月終わりの月曜日、ニューヨーク大学の放射線及び脳外科の准教授Rajan Jain(ラジャン ジャイン)先生をお迎えしてモーニングレクチャーならびにご講演をいただきました。
ジャイン先生は、Radiogenomics (放射線画像と遺伝子情報を組み合わせる手法)により脳腫瘍において先駆的なお仕事を数多くされている方であり、インド出身ということもあり、アジアには頻繁にお越しになられています。
ジャイン先生と山田惠教授は、一昨年に台北で開催されたNeuroimaging系の国際会議でともにレクチャーを担当され、お知り合いになられています。今回の訪問もジャイン先生が韓国で開催された国際会議の道中にお立ち寄りいただいたほど、両先生の気の置けない間柄を表しているものです。
ジャイン先生は、画像と遺伝子情報の関係に精通されており、そのノウハウも多くお持ちになっていました。現在、世界中が遺伝子情報をGold standardにした医療技術開発を行う方向に動き出しています。それらを行ううえで大切なことは、「専門家間のコラボレーション」であるというジャイン先生のお言葉から、我々も個人の専門性をより高めるばかりでなく、他の領域の先生方との共同活動が非常に大事であると改めて感じました。また、ジャイン先生自体も個人として2重、3重の専門性を有しておられます。
ジャイン先生は、異業種コラボレーションで活躍している方々によくみられるマシンガントークを身につけておられ、こちらがひとつした質問に対して、5つ6つの答えや意見を返される非常にエネルギッシュな方でした。その日の気温が高く感じられたのは残暑のせいばかりではないように感じました。