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初期研修 Residency program

京都府立医科大学 放射線科の研修の特徴

当院の放射線研修期間はスーパーローテート2年目のうち、2、4、6、8ヶ月間の選択となっています。その短期の間に放射線科業務の実際を体験し、そこで得た知識、技術を研修後の医療行為に最大限に生かしてもらうことが当放射線科の研修プログラムの目的です。
各ローテーターの研修期間および研修後の進路は異なりますので、研修の効率化を図るためには、各人の状況に応じた研修プログラムの設定が必要です。したがって、当放射線科における研修では、各セクションのローテートを基本としますが、個々の要望により特に重点的に研修をうけたいセクションを選択し、独自の研修トレーニングプランを計画することが可能です。

研修の実際

放射線科業務は大別して放射線診断と放射線治療があり、放射線診断にはCT/MRI、IVR、核医学など多岐にわたる分野があります。いずれのセクションも臨床上極めて重要な役割を担っています。
画像診断は現在、多くの疾患においての病変検出および病期決定、治療方針決定の要となっています。したがって、各種疾患のCT、MRI、核医学検査の適応および画像所見に関する知識は重要で、特に各検査法の適応および典型的異常所見については、現代の臨床医にとっては必須の知識です。
また、放射線治療や動注化学療法・動脈塞栓術といったIVR治療は、悪性腫瘍および良性疾患の一部が対象となります。研修後に放射線科にすすむ医師は当然ですが、それ以外の臨床科医師においても、放射線治療、IVR治療の適応とその実際に関し正しい知識を身につけておくことは重要で、適切な時期での放射線科照会によって患者の生命予後やQOLを大きく改善できる場合があります。
そこで当施設での研修では、画像診断においても、検査法の適応を知り各検査の使い分けができること、さらには代表的疾患の典型的所見を知ることが大きな目標となります。また、放射線治療、IVR治療においては各治療法の適応の詳細を知ること、さらには代表的疾患における治療の実際を知ることが大きな目標となります。
以下に研修目標の具体的な例をいくつか提示します。実際には、研修期間や研修後の進路などを踏まえて、個々の研修医ごとに研修目標および研修プランを組み直す必要があります。短期間の間に内容の濃いトレーニングを実現するためには、多くの項目の中から自分の希望するいくつかの項目を選択することも必要となるでしょう。もちろん、以下に提示されている以外の項目を希望することも可能です。明確な目標設定はトレーニングの効率化において非常に重要で、研修の充実には欠かせないものです。

放射線科 臨床研修プログラム

≪1≫ 到達目標

日常診療・救急診療で遭遇する疾患の画像診断と、放射線科的治療である放射線治療やIVRの基本をマスターする。研修終了後の診療に役立つ放射線生物学・物理学の基礎を理解する。

≪2≫ 基本方針

放射線科は、診断・治療とも全身の疾患にかかわっている。放射線科の担当する診療内容は、画像診断・IVR・放射線治療に大別される。研修プログラムとして、2ヶ月・4ヶ月はおよそ6:1:1になるように放射線科診療の研修・習得を計画している。6ヶ月以上では各自が分野を選んでさらに深く研修を行う。

≪3≫ 研修内容
  1. 読影室にて、フィルムリーディングに参加して一般撮影、CT、MRI、核医学検査などのあらゆる放射線診断の基礎を習得する。
  2. CT、MRI、核医学検査室にて、現場の診療に参加し、基本的な手技や検査手順を習得する。
  3. 血管造影、Non-vascular IVRに参加して技能を習得する。
  4. 放射線治療外来に参加して、放射線治療の基礎を習得する。
≪4≫ 教育体制
  1. 診断読影カンファレンス
  2. IVRカンファレンス
  3. 放射線治療カンファレンス
  4. ミニレクチャー
  5. 学外招聘講師による講演会

研修目標の実例

画像診断
  1. 胸部単純写真の読影を指導医とともにできるようにする。
  2. 救急疾患の画像診断の読影を指導医とともにできるようにする。
  3. Common disease の検査のプランをたてることができるようにする。
  4. 各画像検査のコスト・ベネフィットを理解する。
  5. 透視検査、単純撮影、RIおよびCT検査の患者被曝のリスクを理解する。
  6. 造影剤の副作用に対処できる。
  7. 胸部CTにおける正常解剖、および代表的疾患の所見を理解する。
  8. 腹部CTにおける正常解剖、および代表的疾患の所見を理解する。
  9. 頭部MRIにおける正常解剖、および代表的疾患の所見を理解する。
放射線治療
  1. 放射線による副作用について理解する。
  2. 放射線治療による部位別の急性期症状を理解し、それらの対処を指導医とともにすることができる。
  3. 放射線治療の適応と限界を理解し、代表的な癌として肺癌・食道癌の治療計画を指導医とともに行うことができるようにする。
  4. 転移性骨腫瘍の放射線治療を指導医とともに計画することができる。
  5. 転移性脳腫瘍の放射線治療を指導医とともに計画することができる。
  6. 緩和医療の一環として施行される姑息的放射線治療の実際を知る。
IVR
  1. 各種IVR装置に関して理解する。
  2. IVR治療にどのようなものがあるかを理解する。
  3. IVR治療の適応と限界を理解し、IVR治療の対象となる代表的な疾患の治療戦略を考えることができるようにする。
  4. 血管造影の基本手技を指導医とともに行うことができる。
  5. 肝細胞がんのIVR治療(TAE・PEIT・RFAなど)を指導医とともにすることができる。
  6. 各種IVR治療の合併症を理解し、対処法を知る。
研修する領域 1名の専攻医が3年間で 経験できる数 目標症例数
X線単純撮影 10,625 400
消化管X線検査 1,265 60
超音波検査 1,450 120
CT 20,250 600
MRI 8,050 300
核医学検査 2,400 50
IVR 535 30
放射線治療 475 30