放射線治療 Radiation Oncology
診療内容
放射線治療を始めるにあたって
放射線治療とは何か? 色々と疑問に思うことや不安になることがあると思います。
治療を始めるにあたって、患者様が理解され納得され、何より安心して治療を受けていただくことが大切と考えます。このページは、放射線治療の内容、効果、副作用について説明しております。
放射線治療を考えられる時にお読みください。
放射線治療は、ほとんどの場合、がんに対する治療として行われます。
がん病変がある場所に放射線をあてることで、がん細胞を選択的に破壊し、切らずにがんを治療できます。
手術と放射線治療
放射線が当たったからといって、治療中は痛いとか熱いとか感じることはありません。
切らずに治す治療であり、一般に侵襲性(体への負担)が少ないといえます。
また、手術との大きな違いは治療範囲の設定です。
手術では切除した部分のがんは取り除くことができ、切除できなかった部分は残る、というように明確です。
切除した範囲しか治療できないとも言えます。
一方、放射線は当てる範囲を比較的自由に設定できます。
細胞レベルのがんの広がりが予想される周辺の部分には、広めの範囲に少なめの放射線量をあて、微少ながんをたたくと共に副作用を軽微にとどめます。
明らかに腫瘍がある部分には、照射範囲を絞って多い放射線量を当てます。
がんの種類や予想されるがん細胞の量に応じ、治療する範囲の中でも放射線量の強弱がつけられます。
このことで、手術より一般に広い治療範囲の設定も可能になります。
放射線治療の特徴
先に述べたような放射線治療の特性を生かして治療を行います。
放射線治療の大きな特徴は、がんの原発巣(T : Tumor)のみならず、所属リンパ節(N : Nodule)、遠隔転移(M:Metastasis)にまで治療対象が及ぶということになります。
原発巣に対する放射線治療は、頭頚部癌や肺癌、食道癌、子宮頸癌など様々な疾患が対象となります。
またもうひとつの特徴は、根治目的の治療だけではなく、姑息・対症的な治療においても有力な手段となるということです。
対症療法としては出血や痛みを軽減させるものが主体ですが、そのほかにも、嚥下障害や浮腫、呼吸困難、神経障害(麻痺)、黄疸などを緩和するためのものなどがあります。
このように放射線治療の治療対象は広範囲に及びます。
放射線治療を行う場合、通常は病変の周囲にある微小ながんの浸潤や転移も同時にたたくように計画するため、病変のまわりの正常組織を一緒に含んであてることになります。
この場合、1回に当てる線量を少なくし、回数を増やして長期間の治療として行う方が、副作用が比較的少なく済む場合が多くなり、また結果的に多い量の放射線をあてることによる治療効果の増強が期待できます。
このため、通常は数週間~2ヶ月弱という比較的長期間の治療になり、原則として平日は毎日行う治療となります。
また、治療効果を見ながら途中であて方を変えたり追加したりする場合もあります。
1回の治療は、5~10分程度で終わります。治療室内のリニアックのベッドに寝ていただいた状態で、放射線を照射します。
放射線があたったからといって痛く感じたりすることはありませんのでご安心ください。
なお、治療中はお一人で寝て頂くことになりますが、スタッフがモニターで見ておりますので、何かあった時にはすぐに対応いたします。
当院では、2台のリニアック装置を備え、患者さんや病変に応じて使い分けています。当院では現在、年間の新患数600名程度を対象として放射線治療を行っています。
リニアック(放射線治療装置)
楽な姿勢をとり、体を動かさないでください。
リニアック操作室風景