画像診断(核医学) Nuclear Medicine
部門紹介
トレーサ技術を用いて分子レベルの情報を画像化する核医学検査は、生体において非侵襲的に体内の代謝や機能の評価を行うことが可能です。
体内のRI分布の画像作成には、ガンマカメラやPETカメラを使用して行います。当検査室では、2台のSPECT/CT装置、1台のPET-CT装置に加え、小型半導体ガンマカメラを保有し、年間に合計約5000件の検査を行っています。
検査対象は、腫瘍、心臓、脳は勿論のこと、内分泌、腎、肺、消化器など多岐にわたり、核医学専門医・PET認定医の指導体制の下、専攻医がローテートにて研修しながら診療を行っています。
検査件数の最も多い骨シンチグラフィでは、単に転移検索目的にとどまらず、骨代謝の画像診断に大きな役割を果たしています。
腫瘍核医学においては、FDG-PETが重要な役割を果たしています。各種腫瘍の病期診断や再発診断、治療効果判定など、診療において不可欠な検査であり、各診療科と適宜連携をとりながら診療を行っています。
骨軟部腫瘍や、小児腫瘍の分野においても関連臨床科と協力しながら、骨シンチグラフィやタリウムによる腫瘍シンチグラフィなどを用いて、他の画像情報とあわせた総合診断を行い、治療の効果判定も代謝画像の面から行っています。MIBGシンチグラフィによる神経芽腫の診断では、日本のトップクラスの評価を受けています。
脳核医学は、各種形態画像が目覚しく進歩する中においても得ることのできない代謝情報を提供してくれるため、変性疾患や神経疾患、脳血管障害において、統計学的解析法や定量検査を駆使して必要な情報を提供しています。
その他、頭の先から足の先まで、得られる情報は可能な限り描出させる、をモットーに、多岐にわたる検査に関しても積極的に取り組み、核医学のあらゆる内容に関して指導者とともに十分な研鑽を積むことができるシステムを構築しています。
また、RI内用療法も長く行っており、甲状腺癌のヨード治療を行っているほか、外来にて甲状腺機能亢進症のヨード内用療法も行っています。
また、悪性リンパ腫のCD20抗体の放射免疫療法であるゼヴァリン治療を、血液内科と共同で行っているほか、骨転移の緩和治療としてのストロンチウムー89を用いた内用療法も予定しており、治療部門や他の診療科と連携して患者様の診療に関わっております。
研究案内
核医学は、生体を代謝・機能的な面から解析する手法であり、様々な疾患への応用が可能です。したがって、特定の分野に固執することなく、あらゆる分野に対し臨床研究を中心として展開しています。
日々の臨床の中に研究のきっかけとなる所見やアイデアが含まれることも多いため、ケースレポートのみならず、日常のルーチン検査における1例1例を丁寧に実施、診断しています。
現在進行中の臨床研究内容としては、関連臨床科と連携をとりながらPET/CTを用いた代謝と形態画像の両面から肺癌や頭頸部がん、リンパ腫、消化器癌など各種がんの診断や、治療効果判定における臨床的な有用性を評価しています。
SPECT製剤における腫瘍特異性の高い放射性医薬品を用いた腫瘍診断への臨床応用についても検討しています。
神経内科と共同で画像処理の検討や、水頭症における脳血流の評価などについて、検討したりしています。
また、最近では神経内科と共同でアミロイドイメージングの評価を行っており、小児科と共同で神経芽腫におけるMIBGシンチの評価法の検討を行っています。
RI部門のもう1つの柱である内用療法においても、一例一例の症例を大切にし、症例報告や、画像診断と絡めた研究を積み重ねています。
診断、治療ともに、個々の症例のデータについてはデータベース化し、簡便に調べたいことのリストを出すことにより臨床研究を行いやすい環境を整えています。